非常にスリリングな体験だった (インタビュー : 山口大地 『TUNNEL』)

日時:2019.09.07
取材:田中凱、撮影:金子佳史、編集:山口大地

田中凱、山口大地

2018年5月にONOONO第2回公演の演者として参加した山口大地。
彼の第3回公演『TUNNEL』に向けての思いや、普段の日常について聞いてみる。

非常にスリリングな体験だった

—第2回公演『RIGHT NOW』から1年ちょっと経ちますが、今ぱっと思い返して、率直な感想ってありますか?

山口大地:深い経験だったなと。

—ほう、深い経験とは具体的には?

山口大地:舞台公演をゼロから作り上げ成功させるまでの経験だね。公演の立ち上げから、制作・広報・脚本・演出・振付・出演・雑務の全てを自分たちでクリエイトしなければならない。それが成功できるように、考えて実践して失敗してまた作り上げて。これをひたすら繰り返した経験が非常に大きな学びになったかな。

—そうだね、メンバー全員が身に染みている事だね。本当に大変だったね(笑)。

山口大地:成功かどうかは本番を迎えないとわからないので、本番までの何ヶ月も試行錯誤しながら、一体どうなるのかなーっていう不安が常にあった。同時に面白くなったんじゃないかという自信もあって、非常にスリリングな体験だったね。

—一番スリリングだったりしんどかったのはどのシーンだろう?

山口大地:作品の中でいうと、トキの作品『光、私、影』がめっちゃ踊るので、体力的にも振付的にもかなりしんどかった!意識飛びそうだった!(笑)。

—僕の作品か!(笑)

山口大地:あれはすごく頑張ったよね。僕は本番中に足の指の皮がベロンベロンに剥けて、それがお客さんに見えてしまってて、結構面白かった(笑)。

 

小さな物事が拡張することで、なんだか世界が平和になったらいいな

山口大地

—大地作品の『すれ違えない人々』がアンケートで一番反応があったと思うのだけど、、あの作品を作った経緯ってなんだったの?

山口大地:あの作品は、普段の何気ない日常で道端で人と人が「すれ違えなくなる」瞬間を見た時に、この現象が面白いなと作品づくりのタネとしてあった。これって捉え方を変えると、同じ選択をしてしまうことで動作がシンクロし、同調や関係性が発生する事ではないかと思った。そして、シンクロが拡張していく事で周りにも影響し、自分と他人との関係性が変化したらいいなと。
これはどんな物事にも言えるなと思い「すれ違えない」という瞬間を題材に、小さな物事が拡張することでなんだか世界が平和になったらいいなという作品をつくりました。

—ONOONOのメンバーも、日頃から哲学・思考実験などを見ていたり、それをテーマとした表現を心がけているけど、大地の着眼点や切り口は独特だよね。日頃からインスピレーションとか捉え方とかってどうしてるのかな?

山口大地:捉え方としては、物事をメタ的に見るようにしている。今の自分の周りを俯瞰して見る事を意識していて。もはや癖なんだよね。例えば、「自分の周りに人間が何人いて相互の関係や流れている空気感はこうだな」とか、「会話している時のあの人ポーズがシュールだな」とかってずっと考えて、ニヤニヤしている。

—そう考えると、日常が全部教科書なんだよね。あの作品を作って得られた経験ってなんだろう?

山口大地:あれは僕が初めて挑戦したコンテンポラリーダンス× コメディ作品で、今までにないテイストの作品を完成させたのが大きな経験だった。アンケートの反応もたくさんあり、自信に繋がった。

 

本質を見て行動することで物事はもっとよくなる

不規則な林檎 作品のシーン

—ちょっとONOONOとは別の質問なんだけど、僕も他のメンバーも、大地について知りたいのは“ダンス”なんですよね。個人でダンスの作品を作るにあたって、ひらめきのきっかけや一番大事にしていることってなに?

山口大地:作品のクリエイトのきっかけは、「なんでこれはこうなんだろう」と、物事の本質を探ることを一番大事にしてる。

—なるほど。実際にそこから作品を形成していく上で、何かこだわりとかあるかな?

山口大地:まず、作品のテーマを決める。なにを伝えたいのか、なぜ作品にして踊るのか、観た人がどう感じて欲しいかを設定する。

—僕も参加した作品(2017年不規則な林檎 公演)ってどんな設定だったのかな?その題材はなんだったのか。

山口大地:あれは、ある一個の事象に対してそれぞれの捉え方があるという事は、それぞれの事実があるって事なんじゃないかと。そこで、事実って一体なんだろう、という点に着眼した。色々調査していたら、ニーチェの言葉で『There are no facts, only interpretations.(事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけだ。)』という言葉に行き着いて、これだと思った。
作品の落とし込み方としては、これまでの自分の記憶や影をダンサーの対面や関わる時に自分がどう解釈していくのかを表現している。

—それが終わった後の周囲の反応や自分の手応えってどうだった?

山口大地:それまでコンテンポラリーダンスをやっとことがなかったから、とにかく思想を詰め込んだ作品だったんだよね。そして、自分の予想を何倍も上回るGOODの反応があって、自信に繋がった。あの作品は、今のコンテンポラリーダンスの活動のきっかけになってる。

—考え抜いたからこそ、いい反応があったんだね。僕も参加していい経験だった。大地の作品作りのやり方は、みんなの考えを聞いて、より良い作品を作るというチームで動き方が良かった。本質が見えた時間だった。

山口大地:そう、本質を見て行動することで物事はもっとよくなる。

 

みんなで越えていきたい。そしてお客さんと一緒にその瞬間を共有していけたらいいな

山口大地、田中凱、金子佳史

—TUNNELが始まりますね。

山口大地:始まりますねーついに。前回から1年ちょっとで3回目。

—その間にオレンジシネマ、UWなど、色々なところで活動をしましたが、自主公演ってやっぱり重みが違いますね。

山口大地:違いますねー。オレンジシネマは映画を題材にした30分作品。UWでは、映像とリンクした作品というクリエイションをしたおかげで、舞台という枠の中での魅せ方を学んできている。経験値が上がり、今回の『TUNNEL』は中身の詰まり方が全然違う。

—めちゃくちゃそう感じますね。どんな活動でも真剣に反省を積み重ねて、我々もONOONOとはどんなものかがわかってきた。そのうえで『TUNNEL』はどんな公演にしたいですか?

山口大地:今回は規模が変わる。場所も立地の良い東京・中野で、キャパも前より1.5倍くらい。今までよりリスクがでかい。その高いハードルを超えることができたら、本当に大きな成長に繋がると思っています。

—確かに、超えるべきは自分だなとすごく感じる。

山口大地:うん、みんなで越えていきたい。そしてお客さんと一緒にその瞬間を共有していけたらいいなと思う。

—今回の公演で注目して欲しいところは?

山口大地:今回は「電車」というコンセプトがあり、そこから展開する話と我々の新しいクリエイション が、どう絡んでいくのかに注目して、楽しんでもらえたらいいなと思います。

最後に

—ありがとう。では最後にみなさんへ一言!

山口大地:みなさんに楽しんで欲しいです!見終わった後に中野でおいしいご飯を食べて笑顔で電車に乗ってほしい(笑)。ぜひ、遊びにきてください。お待ちしておりまーす!